コーディネーターあいさつ

ROIS女性研究者活動支援室・コーディネーター 中村淑子

プロフィール

ROIS女性研究者活動支援室・コーディネーター 中村淑子お茶の水女子大学生物学科卒 理学博士(平成10年)。北里大学医療衛生学部在職中に電子顕微鏡レベルの組織学を学び生物の美しさに目覚める。徳島大学工学部、理化学研究所CDB博士研究員を経て、平成19年よりイギリス・ケンブリッジに留学。専門は発生遺伝学とショウジョウバエ胚のライブイメージング。平成27年10月に帰国し、平成28年6月より現職。

 平成28年6月1日付でROIS女性研究者活動支援室・コーディネーターに着任しました中村淑子です。
 私は生命科学の分野での研究経験があり、研究者が立ち向かうべき困難や、長い苦労の後に得られる研究上の喜びなどの「心の引き出し」を持っていますので、研究現場でのさまざまな思いに共感できるかもしれません。これまでも職場の同僚や後輩にあたる女子学生の声に耳を傾けることに取り組んできました。「本当はボスに相談するべきだけど・・・」、「周りに相談相手がいない」、そんな思いを少し分けていただけたら、一緒に解決する方法を考えていけると思います。この7月からはカウンセリングの専門知識や女性のキャリア形成について学びはじめ、近日中にメンタルヘルスカウンセラー等の資格取得も目指しています。
 また、イギリス・ケンブリッジでの9年間に及ぶ留学での体験から、日本の研究・教育現場でのダイバーシティの取り組みにも積極的にかかわっていきたいと考えています。国籍や性別、年齢などによる差別を減らしていこうとするダイバーシティの取り組みがケンブリッジでは大変進んでいて、外国人で女性で、ポスドクとしてもかなりの高齢であった私のような者でも仕事がやりやすく感じました(それで9年もの月日が過ぎてしまいましたが)。
 私というひとりの研究者を快く受け入れてくれたケンブリッジへの感謝の念と、いつの日か日本の研究現場でもそのような環境を実現できないかという思いを持ち続けた日々でした。このたび生まれ故郷の日本に戻り、ROISの女性研究者活動支援にかかわることが出来るのをたいへん嬉しく思っています。ここで出来るだけの力を尽くすことが自分にとっての新しいチャレンジであるだけでなく、自分に出来る科学への貢献になることを願っています。

 情報・システム研究機構では、平成22年秋に男女共同参画推進委員会が発足して以来、特徴ある4つの研究所を連携する大学共同利用機関法人として、独自の女性研究者支援策を模索してきました。平成26年度から現在までは、文科省の科学技術人材育成費補助金を受けることにより、機構の女性研究者活動支援事業は強力にバックアップされてきています。この機会を活かし、機構の外からの良い事例に学ぶとともに、機構の内からの声に耳を傾けることで、男女とも働きやすく、性別にかかわらず能力を発揮できる環境を整えていく、その最初の変化を起こすことが出来ればと私たち女性研究者活動支援室のメンバーは考えています。
 性別や年齢、出身地など、持って生まれたものは個人の意思では変えがたく、そうした「違い」はわたしたち一人ひとりの個性と能力の土台となるものです。お互いの違いを認識・受容し、それぞれの良さを生かすことは、均質であることを良しとする日本のこれまでの文化的背景には馴染みにくいことかもしれませんが、科学という共通の言葉を持った先進的な人々の間なら、他の業種や分野よりも容易に変化が生まれるのではと期待しています。科学・教育の分野が日本のダイバーシティの先駆けとなるよう、私たちも微力ながら努力してまいります。
 女性研究者活動支援室では女性研究者だけでなく、女性研究者と共に働く男性研究者、指導教官の方々のお声も積極的に拝聴し、本機構での男女共同参画を進めるために役立てたいと考えております。お気づきのことがありましたら是非お知らせください。

 皆様にお目にかかれる機会を楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。