情報・システム研究機構 女性研究者支援活動室
このページは2015年8月~2017年3月まで運営されてました女性研究者活動支援室サイトのアーカイブになります
女性研究者研究活動支援事業において国立情報学研究所 女性研究者活動支援室では、女性研究者の研究力向上のための取り組み、研究と生活との調和に配慮した研究環境の改善・啓蒙のための取り組みを行っています。
第1回は、研究発表などに必要となる図解作成スキルアップのため「図解表現力・図解思考向上研修」を開催しました。情報を一目で分かりやすく伝えるためには図解化のスキルが必要です。本研修では図解化の手法に加え、そのベースとなるロジカルシンキングの基礎も学びました。参加者は講義を踏まえ、「研究内容を説明するための図」「自身の業務を説明するための図」をテーマに図解化に挑戦しました。
参加者からは、「資料がひとり歩きする可能性を意識して作成することの重要性を学べた」「図解の技術など体系的に学べた」といった感想が寄せられました。
第3回セミナーは株式会社ベストスピーカー教育研究所代表取締役の高津和彦氏を講師にお迎えし、学会発表・講義等の人前で話すスキルの向上に役立つポイントについて指導を受けました。
プログラムの前半では、参加者全員が簡単な自己紹介を行い、その様子を撮影した動画を見ることを通して、それぞれが抱える問題点(姿勢、動作、顔の表情、声の抑揚、視線の出し方など)を明らかにしました。自らの動画を見るという体験については「客観的に見ることで自分の取り組むべき点が分かり、とても為になった」という参加者の声がありました。
後半は、声の出し方や体全体を使った表現力の向上に取り組む実践トレーニングで、高津氏からは「日本人の多くは能力があるのに自己採点が厳しい、もっと自分を高く評価しましょう」と参加者へ向けて励ましの言葉がありました。
20名の参加者からは、「自分の話す様子を客観的に見ることができた」「自分の殻を破ることの大事さに気付いた」等の感想とともに、「今後は科学プレゼンテーションの技術や、英語でのプレゼンテーション力を高めるセミナー等を受けてみたい」という声も寄せられました。
(ROIS女性研究者活動支援室コーディネーター 中村淑子)
遺伝研の国際化をテーマに、遺伝研に所属する6名の外国人研究者と日本人2名計8名の参加者で意見交換を行いました。
それぞれの所属研究室では英語力に優れた先生方のおかげで、研究を進めるにあたって大きな問題はなく、研究室メンバーとの交流にも不自由は感じていない、と言う声が多くあがりました。
一方で日本語をもっと勉強したいのに英語での会話が中心になってしまう、使用したい共通機器に日本語の取扱説明書しか添付されていない、奨学金の申請が日本語でしか行えないことがあり奨学金を受ける機会が限られてしまう、共同研究の機会を得たいが日本語が話せない外国人にはなかなかチャンスが来ない、日本語を習得して卒業後のキャリアパスの選択範囲を広げたいが、所内と所外には大きな文化的・言語的障壁があることを感じる等、様々な意見がありました。
(ROIS女性研究者活動支援室コーディネーター 中村淑子)
第2回セミナーは、京都大学 企画・情報部広報課 国際広報室 室長の今羽右左 デイヴィッド 甫(David Hajime Kornhäuser)氏を講師にお迎えし、ビジネスレターやカバーレターといった英文レターの体裁を中心に、多くの日本人にとってあまり馴染みのない英文レターの書き方を学びました。
セミナーの冒頭では、タイプライターによる印字、という英文レターの歴史的な背景から現在も踏襲されている体裁についての説明の後、日本文と英文でのカッコの用法の違いや使用に適不適のフォントなどが紹介されました。日本人にとって難易度が高い「敬称」についての説明では参加者からの興味と具体的な質問が集中し、議論が大変盛り上がりました。
後半は、参加者からあらかじめ提供されたカバーレターを添削し、読みやすく簡潔な英文レターに整えるという実践編でした。今羽右左氏からは、「英文レターは相手にとって読み易い文章にするという基本的配慮が最も重要である」とまとめの言葉がありました。
33名の参加者からは、「論文がリジェクトされることが多く、カバーレターの書き方に不安があったので学べてよかった」「英語圏の人が持つ文章感覚がわかった」「具体例を使用した説明はわかりやすく、フォントや体裁についてすぐに実践できる内容だった」「読み手のことを考えて書く重要性・基本について再認識した」等の感想が寄せられました。
(ROIS女性研究者活動支援室コーディネーター 中村淑子)
立極地研究所女性研究者活動支援室では、論文執筆やプレゼンテーションなど研究者に共通して必要なスキルを向上することを目的として、全4回(8,9,11,1月予定)のセミナーを開催しています。第1回は講師に公益社団法人日本工業英語協会 専任講師の興野 登氏をお迎えし、科学英語論文作成のための基本的な英語表現を講義と演習を通して学びました。
セミナー前半では、「冠詞の使い方」が特に詳しく取り上げられました。冠詞が日本語で発達しなかった理由や、人種・文化的な違いを前提とする英語圏でのコミュニケーションのあり方などといった日本人が冠詞を苦手と感じる理由の解説がありました。さらに、定冠詞の誤った使い方が結果として読み手を困惑させることなどが具体例を交えてわかりやすく紹介されました。
後半はパラグラフの構成に関する講義と実際の英文添削例を用いた実践編でした。論理的な構成を持った文章を書くことはネイティブスピーカーにとっても容易ではなく、専門的な訓練が必要とのことでした。さらに、日本人が英語教育を長年受けたにもかかわらず科学英語論文を書くときに困難を感じる理由について、日本の英語教育の現状と課題にも言及されました。セミナーの最後には「意図したとおりの文章を正しく書くことが出来るのは書き手だけであり、書き手の責任でもある。そのためにひとりひとりが日々精進してください」という激励の言葉があり、3時間半のセミナーは締めくくられました。
30名の参加者からは「冠詞の意味を正しく知ることができた」「冠詞の使い方など、いつも迷うことについて論理的な説明があり勉強になった」「学生の教育に役立てる」などの感想が寄せられました。
(ROIS女性研究者活動支援室コーディネーター 中村淑子)